Bikers Hi

英語圏に料理ファンが居るので英語使わせてもらってます

ジャーマンチャネル 16

ジャーマンチャネル最初から



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ロブスターのぷりっとした食感に、ジュディの目が和んでいた。
美味しいものを頂いている、微笑みと楽しそうな仕草がどこか家族的な雰囲気を醸し出す。
私も美しく魅力的なジュディと同じテーブルで、心がゆったりと解き放たれる感が有るのは
アルコールだけの酔いではない。




御一緒した御夫婦はとても上手に箸を使い、にこやかに目線を交わしている。
やはり目の前で調理するシズル感が楽しい。
醤油やバターの風味が焼けて昇華してテーブルに漂い、鉄板から食材の水分を弾く音やOILが跳ねる囁きも
大いに食欲をくすぐる。
視覚、嗅覚、聴覚、味覚のコンビネーションがスピーディーに展開していくのだ。

ステーキがミディアムレアに焼き上がり、鮮やかな手つきでサイコロ状にカットされ益子の皿へサーブされた。
ローズピンクの断面から肉汁が滲み出す前に口中へ。
かみしめるまでも無く、サーロインの旨みが舌に溶け出し焼けた表面と内部の旨みが絡み合って口中でダンスの感。

ズキニーやオニオン、マッシュルームもバターと醤油が絡んで歯触りも良く旨い。
鉄板上の旨みが乗った部分にご飯が広げられ、生卵が割られた、高温で手際よくスパテラをナイフのように操り
あっという間にフライドライスが出来上がった、これは箸では食べにくいので、レンゲが添えられた。
焦げた醤油風味とパリッとした焼き飯のコンビネーションは、ここのところパン食系が多い私にはやはりうれしい。

最後にシェフは水分の多いもやしを鉄板に広げ、もうもうたる蒸気と共に旨みの焦げを絡ませて各皿へ取り分けた。
これもちょっしたヌードル感覚で旨い。

ニコニコと丁重に挨拶して、鉄板を見事にクリーンUPしてシェフはワゴンを押して去った。
帰り際に、少しだがシェイクハンドして、折りたたんだサイドチップを渡した。
彼は、少しすまなそうな表情も浮かべたが、私とジュデイの満足の微笑みに、快く受けてくれた。

テーブル上に支払の時置くチップ意外に、個人的にサービススタッフにお礼の気持ちで渡すチップがサイドチップだ。
出来るだけさりげなく渡すのがかっこいい。
バーなどでバニーガールのウェイトレスの胸元にさっと紙幣を入れるおやじが居るが、さまにならない。
誠意をもって小さく折りたたんだ紙幣をそっと手の甲に重ねた方が効果的だ、もちろん美しい瞳を見つめて
気の利いたお礼を言えばレディのシェイクハンドと、素晴らしい笑顔のサービスを受けるだろう。
次の来店時には、ぐっと親しく接してくれるはずだ。

多くの飲食業のサービススタッフは、月2回のPEYチェック(小切手)とチップを各お店のルールでプールして配分したものが
収入となる。それ以外の収入は、個人的に得られるサイドチップになる。
人気のスタッフは当然稼ぎがいい。
ビバリーヒルズエリアはお金持ちの人種が多いので1日でかなりの金額を稼ぐスタッフも現れる。

このレストランも、Hollywoodが近いので世界的な映画スターや有名歌手、スポーツ選手、政治家などなど、TVの画面内でしか見た事の
無いような夢の人物が、さりげなくテーブルで食事している。
前回ディナーで利用した時も、偶然世界的に有名な歌手のテーブルの隣エリアに居た。
感心したのは、他の客はみんな彼の存在に気が付いていたのだが、騒がずマナー良くプライベートの雰囲気を尊重する気使いが感じられた。

「ふぅ〜^ランチから素晴らしい御馳走でこんなに目の前で調理してくれるレストラン初めて・・・」
ジュデイは胃のあたりに軽く手を当てて言った。
「No room in my Stomach」
とても満足そうに頬を膨らませて深呼吸している、しぐさが子供じみているが可愛い。
「レディにはまだ予備のスペースが有るのさっ!」
ジュディは少し怪訝そうに私を見つめた。
ウェートレスさんに、グリーンティーアイスクリームを注文した。
すかさず、同席の御主人が指を2本立て、無言で奥様と自分へサイン。
私の目をにっこり見て仲良く奥様の腰を寄せてウィンクした。
茶目っ気の有る素敵なカップル、御主人はウェートレスに何か耳打ちして微笑んでいた。

ちいさい益子のボールに4つのグリーンティーアイスクりームが運ばれ置かれた。
着物のウェートレスさんが「これは・・あちらのお客様から・・・」
年輩のカップルが手で、どうぞどうぞとジェスチャー
アイスクリームは御夫婦が奢ってくれた。
ジュデイはびっくりしてお礼を言うと、
「お嬢さんが私の娘と同じ年代で、今はLAに居ないのだけどなんだか・・そんな気がして代わりにねっ・・!」
奥様が懐かしむような表情で言った。
少し恐縮しながら美味しく頂いた。
グリーンティ―アイスクリームは和系のレストランで絶大な人気が有る。

久しぶりにとても満足するランチをジュディと共にできた。
テーブルで支払いを済ませた。

同席した御夫婦に丁重に礼を言った。
ジュデイはビジネスカードを奥様に渡して、何か話していた。
私は御主人とがっちり握手して短いひと時の邂逅を感謝した。
帰りがけのエントランスで支配人が見送りに来てくれた、見送りを恐縮していたら耳元でささやいて聞いたのだが・・
同席した御夫婦の御主人は著名な映画プロデューサーだった。
好きな映画のエンドロールでその名を何度か見かけて、名前だけは記憶に残っていた。
機会が有れば、またどこかでお会いしてお話してみたいと思ったが、プライベートな時間はお互いに尊重したい。
そうだ!ジュデイルートでまたチャンスが・・・?
そんな事を想像しながら出口でカーアテンダントにチップを渡した・・
レンジローバーが目の前に停車してあり、ジュディは颯爽と車に乗り込んだ。









つづく











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