Bikers Hi

英語圏に料理ファンが居るので英語使わせてもらってます

ジャーマンチャネル 4

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エマは大柄でややふくよかだ、いきなり抱きしめられてどぎまぎする。
そんな私の表情を見て、頬を摺り寄せる。
嬉しそうに笑ながらやっと解放してくれた。

「ナオミこのナイスガイならOKよ!・・・・」
言葉の意味が呑み込めなくて更に戸惑う・・・・
ナオミはエマと私が知らないうちに内緒のガールズトークをしていたようだ。
「ナオミ・・・何の話?・・・・OKって何が?」
「エマは・・・・きっと未来が読めるのね、その答えは・・・私にも謎ね」
ナオミはエマの腕を取って親子のように2人で微笑んだ。

「ねえ・・よかったらエマの家寄って行かない?久しぶりに会ったのでもっとお話ししたいし・・・」
「ああ、構わないよ、おれの事は気にしないでいいから、行くといいさ・・・」
「だめよ!あなたも一緒に行くのよ、もう行くって言ったんだから」
こっちの都合も聞かずにぐいぐい引っ張り出されて、これだ!
でも、彼女の強引さも新鮮で可愛い。
仕事のほうはここ数日で目星がついていたので、時間的には余裕が有った。
「初対面でいきなりお宅へお邪魔しちゃ失礼かと思って・・・・」

エマは不思議そうな顔をして言った。
「日本から来たバイカーは家族として扱うわ、TATTOOの鯉も故郷から来た人間を歓迎するわよ!」
「エマ、ありがとう!実は・・・・喉が渇いたから冷えたビールでもと・・・・」
「OK、ハズバンドのSamはビールを切らすと怒るから、BARが出来るくらい家で冷えているわ」
「それはありがたい、日本では飲酒運転が厳しいから飲むのをためらうから・・・・・」
米国ではオウンリスク、自己管理が出来て安全な運転が可能ならそううるさくはない。
しかし、パクられたら留置所とペナルティは相当に厳しい。

アンビランスカーが来てロードバイクの腰を痛めた中年の男性をを担架に乗せていた。
膝に包帯を巻いた青年は歩行可能なので、そのまま担架に付き添って乗り込んだ。
DUCATIのライダーはマシンの横でダメージを確認していた。
見た目、がっかりと肩を落としている、自分が引き起こした事故に精神的にまいっているだろう。
怪我をさせてしまった加害者なので、パトカーで乗り付けた警官に状況を説明していた。
やがて大型のフラットな荷台を装備したトーイングトラックが来て、傾けた荷台をスロープにして壊れたDUCATIを積み込み始めた。

我々は何も事故のお手伝いしてなかったが何となくほっと一段落して、事故現場を離れエマの家へ向かう事にした。
スプリンガーを先頭にナオミが走る。
二人のレディースライダーの走行はバイク車種は異なるが綺麗にシンクロして素敵だ。
妙に息が合っている。
ナオミにとってエマは友人の一人と言うより、年齢差もあってか仲の良い母娘のような存在らしい。
親密なファミリー的な空気がどこか漂っているのを感じた。
私はまた、2人の走行シーンを可能な限りカメラで狙いながらフォーローして行った。

やがて、丘陵地帯の切れ目から太平洋が広大に見え始め斜面に間隔を置いて並ぶ、別荘風の建物が連立するエリアに入った。
スローダウンしてエマのスプリンガーが私道に入る、かたわらの門柱にクジラのオブジェが置かれていた。
広いエントランスで停車。
ゲストハウスかレストランの入り口かと思ったが、エマの自宅だった。

素晴らし過ぎる環境に建つおしゃれな建物、私はロードキングを降りると3人のバイクを絡めてシャッターを切っていた。
「あらあらカメラマンさん・・・お仕事は忘れてまず中へ入ってよ!」
エマはセキュリティーを解除して、3mくらいありそうな木製に金具が黒く素敵なドアを開けた。
現代に現れたデザインが斬新な古城に入る雰囲気だが、ドアは軽くゆっくりと開いた。
思わず息をのんだ。
そこはホールになっていて視線の先には青い太平洋が180℃パノラマになっていた、一面大きなガラス張りだった。
シンプルなデザインだが豪華なソファやチェアが並ぶリビングは、階段で更に1mくらい低い部分になっている。
斜面に沿って建設されているので美しい景観を見るために最大の配慮が施されていた。
「わぉっ!アメージング!」
私は、海の景観に対面して水平線の輝きに見とれていた。

エマにソファをすすめられ、ようやく座った。
ナオミは自分の家のように勝手知っているようで、3本のヘンリーワインハードを冷蔵庫から持ってきた。
キッチンが後ろのコーナーにカウンターを備えて有った。
エマとナオミは同じソファに座っているのだが、いつの間にか二人ともライダーズブーツをその辺に投げ捨ててソックスを脱ぎ
裸足になっている。
「Welcome to MARIBU pit!」
エマが声を掛けて3人で乾杯した。

二人の姿を見ていたら思わずビールをむせてしまった。
そろいもそろって、二人とも大きなソファの上であぐらスタイルでビールをあおっていたのだ。
面白い親子のように見えるレディースバイカー、個性的で素敵なシンクロペアに笑顔が込み上げる。

「エマ・・・お腹空いちゃった、何か作ってもいい?」
ナオミは遠慮なくそう言った。
「そうね、ちょっとそのへんのストック見て、適当に作っていいわよ」
エマはビール片手に動こうともせず、テーブル上にあった洒落た貝殻を螺鈿のように張り付けたBOXを開けた。
細いシガーを取り出して、口端で咥え私に向かってウインクして言った。
「This property is a smoking area」
シガー用の長軸のマッチで火を付けると、香りを楽しみながらゆっくりとくゆらせた。
凄く似合う!
彫りの深い顔が少しネイティブアメリカンのような容姿、頼りがいが有りそうな男のような所作。
「Ema ,you looks so cool i love it!」
「Thanks road king」
エマはゆったりと優しい.
日本での仕事やバイカーの話、マリブの隣人の話などとりとめなく呑みながら話した。

「Help me please!」
ナオミが困ったように言った。
キッチンカウンターに野菜やチキンのパッケージを広げて何を作ろうか迷っているようだ。
「ナオミ、サンドイッチとかじゃ駄目かい?」
「ここのキッチンが素敵だから・・・ちょっと手が込んだもの作りたくって・・・」
エマは、まったく放任してニコニコしてシガーをくゆらせる。
「OK、では特技をお披露目しようか?」
「えっ〜〜〜お料理出来るの?」
「何かPASTA在庫有るかい?」
ナオミは食材の引き出しからすぐに見つけ出した。
「前にここに同居させてもらったから、どこに何が有るか何でも聞いて」
「まったく・・・・娘みたいなもんよ」エマがそう言った。
ナオミはエマの家の空き部屋を短い期間ベースにして、仕事をしていたことがあったらしい。

私は冷蔵庫を覗いて、ベーコンとマッシュルームを取出した。
野菜庫からメキシコ料理に使うチリとにんにくを見つけた。
「OK.これなら美味しいPASTA作れるよ!」
カッティングボード上でチキンやマッシュルームをカットする私の手を見たナオミが驚いて言った。
「あなた・・・いいハズバンドになれるわよ」
「おいおい、ナオミは料理人の旦那をさがしているのかい?」
「あはは〜〜それも楽でいいわ、プライベートシェフね・・・」
横に立ち、かいがいしく手伝ってくれる。
ダスターを出してくれたり、不要になったパッケージや野菜くずを手早くかたずける。

「ねえねえ・・・・どこでお料理覚えたの?・・・すごい手際いいじゃない!」
「ああ・・長い事喰えない時代が有ってね、気のいい料理長が俺を弟子にして仕込んでくれたんだ、
・・・・6年くらいは代理シェフもやってたから・・・」
ナオミは驚いて言った。
「へっ〜〜〜あなた・・・お料理PROじゃない・・・うんうん、いいね〜〜!」
「何がいいんだよ?」
「一緒に居れば・・・・いつも美味しいもの食べれそうね!」
「ナオミはモデルだから・・・食べ過ぎて太っちゃうぞ!」
「あはは〜〜〜〜〜!そう思うのよね殿方は・・・・私は食べても太らないタイプなのよ・・・昔から・・」
そういえば、モデルという事も有って女性的なボディラインがすっきりと綺麗だ。
黒いカウ革のライダースパンツなので、曲線が際立って強調される。
「カメラマンとして言うけど・・・・ナオミのボディラインはもの凄く綺麗だよ」
「あらあら・・・・言い訳付ね、カメラマンさんじゃない御意見でも別にいいのよ!」
ナオミはまんざらでもない笑顔で嬉しそうにちょっとだけ照れた。






つづく








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